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メモパンスペルミア説メモ
  <解説>パンスペルミア説   20世紀初頭、スウェーデンのノーベル賞受賞科学者のスヴァンテ・アレニウスは、その著「揺籃の世界」で、地球生物の起源は他の天体で生まれた生物の種子が、宇宙空間を旅して地球にたどり着いたことから始まったという説を述べた。こういう考え一般を総称してパンスペルミア説(胚種普遍説)と呼んでいる。   パンスペルミア説はパスツールによって否定された生命自然発生説に代わって登場したのだが、1920年代にオパーリンらによって批判され衰退していった。このときのオパーリンの批判は次の3点からなっていた。   第一に、惑星から生物がその重力を振り切って飛び出すということはありそうもない。第二に、長期間、宇宙線を浴びる旅行に耐えられるとは思えない。第三に、パンスペルミア説は生命の起源の問題を地球とは別の惑星に移しただけで、生命発生の起源という問題をすり替えただけで無意味である。     しかし、このオパーリンの批判は現在ではかなり考え直されている。ます第三の批判だが、これは生命発生の起源を考えた場合、地球上より地球外の方が生命が発生しやすい条件があるのかもしれない。生命が発生する条件と進化していく条件と違う可能性は十分にあるのである。   第一の点に関しては、あのカール・セイガンによって再検討された。惑星の表面から火山爆発などによって宇宙空間に微粒子が放出されることがある。通常の場合、放出された微粒子は重力によってその惑星に舞い戻るか、さもなければ親である恒星に落下してしまう。 しかし、微粒子の大きさが0.2〜0.6ミクロン、すなわち光の波長とほぼ同じ程度である場合に限り、その恒星が放つ光圧の力が重力の効果に打ち勝ち、恒星系を離脱することができるという。 この現象をポインティング・ロバートソン効果というが、この0.2〜0.6ミクロンという大きさこそ胞子やヴィールスのような生物の大きさなのである。 ところが、このセイガンの考えにも穴があって、ポインティング・ロバートソン効果は両刃の刃で、別の恒星系に着陸しようにも、その恒星の光圧ではじき飛ばされてしまう。 そこで、日本の山田博はセイガンの考えを修正して、放出された胞子が宇宙空間を漂っているあいだに、宇宙塵の表面に付着し、それら宇宙塵のいくつかが集まって団体の微粒子を作ると仮定する。そうすれば、光圧ではじき飛ばされることなく、また、惑星大気圏に突入する際の発熱からも保護されるというのだ。 この考えは、はからずもオパーリンの第二の批判に対する答えにもなっているわけだ。 事実、隕石の中に多数の有機化合物が存在することはすでに知られているし、火星からの隕石に生物らしき破片が付着していたというニュースも記憶に新しい。  
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